院長より

院長 小棚木 均
院長 小棚木 均

 本ページにお進みくださいまして、ありがとうございます。病院の紹介を兼ねたご挨拶を述べます。

 秋田赤十字病院は、大正3年(1914年)の開設以来、108年余にわたり秋田県の中核病院として医療を行っています。かつては病院内で医療を提供するだけでなく、無医地域へ巡回診療、虚弱児童へ保養所開設等を行い、また、頻発した国内外の水害や地震・事故、そして戦争へ医療スタッフを派遣しました。困っている人や病める人がいたなら、いかなる状況でも医療や看護を提供する精神は、病院としてはもとより、個々の職員に脈々と引き継がれています。
 現在の病院は、第4代目の病院として平成10年7月に秋田市中通地区から秋田市上北手地区に新築移転し、今年で25年になります。秋田新幹線こまち号の車窓から、あるいは、秋田自動車道秋田南インター利用時にご覧いただけるかと思います。

 病院の特徴を述べます。
 A. 診療では、1)救命救急センターを有し、軽症から重症まで幅広く救急患者を診ています。平成24年からドクターヘリ基地病院として県全域をカバーした救急医療を展開しています。2)県内唯一の総合周産期母子医療センターが設置され、母体・胎児集中治療室(MFICU)では、併存症を持つ妊婦の安全な出産を図り、新生児集中治療室(NICUとGCU)では、未熟児を含む、生まれて間もない児の健やかな成長のため治療しています。3)神経病センターでは、診断と治療が困難な神経難病への挑戦を続けています。これら1)~3)は秋田県政策医療として県と連携して行っています。4)地域がん診療連携拠点病院として、診療ガイドラインに準拠しつつ先進的ながん診療を行っています。5)病院内には多くの診療センターが設置されています。透析や血液浄化を行う腎センター、運動器の治療を行う人工関節センター、めまいの診断と治療を行うめまいセンター、海外渡航者へワクチン接種等を行う予防接種センター、症例数の多さと高度な技術を誇る消化器病センターや超音波センター、遺伝性疾患や遺伝性腫瘍のカウンセリングを行う遺伝診療センターなど、専門性に基づいた特色ある診療を行っています。6)新型コロナウイルス感染症については、重症化した患者の入院治療を行っています。7)特記すべきものとして、県内の病院では行われることの少ない、肥満外科手術や、乳房再建術、人工関節手術支援システムMakoを用いた手術などが行われています。
 B. 予防医学として、院内にある健康増進センターと秋田市中通地区にある健康管理センターの2か所で年間合わせて2万人の人間ドックや健診を行っています。
 C. 災害救護活動では赤十字として当然ながら、災害時、瞬時にDMATや救護班が出動できるよう訓練すると共に、当地が被災した想定の訓練も行っています。国際救護として、平成29年にロヒンギャ難民救援のため職員を派遣しました。
 D. 教育では、1)秋田大学医学部学生へ臨床実習の場を提供しています、2)臨床研修指定病院として、初期研修に必要とされる病気を幅広く経験できる体制を整えています、3)専門医を目指す医師のため多くの学会認定施設となっています、4)看護師養成のために県立衛生看護学院や日本赤十字社秋田看護大学の実習施設になっています、5)今後の秋田県の地域医療に重要な役割を果たすであろう特定行為看護師を養成する研修施設として国から指定されています。

 高齢化と人口減少が最も顕著な秋田県において、地域が求めるなら、当院はいかようにも変わる柔軟性を持っており、その覚悟もあります。しかし、病院の体制が変わろうとも、個々の患者さんに対する医療は変わりません。人道と博愛の赤十字精神に基づいて患者さんに寄り添い、最新で最善の医療を提供してまいります。

 皆様のご理解とご支援を賜りますようお願い申し上げます。

(令和5年1月1日記)